沖縄の野生ランダイサギソウの研究 Part Ⅱ識名 和生 具志川東中2年
観察を続けている自然群落のダイサギソウを指す識名和生君=沖縄本島北部
増やし守りたい
地面に生えるランの一種ダイサギソウ。美しい白い花が好まれ、盗掘や開発により絶滅が心配される希少なランだ(環境省レッドリストで絶滅危惧IB類)。県内では本島北部にだけ細々と残る自然群落を守ろうと、調査を続けている。
研究を始めたのは中学1年生のとき。調査地の群落で、葉の枚数や幅、丈などを一株ずつ記録し、その生育状況を調べる。秋に花が咲けば、どのような株に咲きやすいか、相関を調べることにしている。
自宅では県内の土壌4種類を集めて栽培する実験もしている。ダイサギソウが自生するのは本島北部に多い国頭マージだけ。本島中南部に多い島尻マージ、中南部や宮古島のクチャ、離島に多いニービではどのように育つか観察中だ。
数年かけても高さ20センチほどにしかならないダイサギソウ。夏の炎天下、山に近い調査地に通い、一株ずつ測定するのは根気がいる作業だ。しかし「生育の条件を明らかにして個体数を増やしたい。そうして自生地を守ることができれば、価値のある研究になると思う。これからも続けたい」と意思は固い。
識者コメント
ダイサギソウ保護のため、野外での生育調査だけでなく増殖実験にまで取り組むことはすばらしいと思います。本種は開放的な草地にのみ生育するようです。4種の土壌での栽培実験に加え、照度や土壌水分量の影響も調べてみるとおもしろいのでは。(安座間)