琉球列島にすむ水生昆虫の種類とそのくらし

渡邉智也(恩納村立恩納小4年)

すみよい田んぼに意欲




自作の水生昆虫の標本を持つ渡邉智也さん。標本の作り方は父親から教わったという=2019年、恩納村瀬良垣

 幼い頃から昆虫が好きな渡邉智也さん(10)は県内の水生昆虫の分布を調査している。「沖縄は水生昆虫がたくさんいる。図鑑でも調べられない昆虫もいるし、図鑑に載っているけどまだ見つけられないものもいる。どんな環境にどんな水生昆虫がいるのか調べたい」と自作の標本を前に目を輝かせる。
 月2回、本島中北部の池や田んぼ、沼に赴き、どこにどのような水生昆虫がいたかを記録する。見たことがない昆虫は飼育して生態を観察し、死んだら標本にしている。調査を重ねるうちに水生昆虫の好む環境も分かってきた。「水がきれいで農薬を使っていない、あぜ道がコンクリートでおおわれていない田んぼには水生昆虫が多い。でもその環境が減っている」とし、水生昆虫の減少を危惧する。
 今後も野外調査を重ねるとともに、庭に水生昆虫が好む環境を整えた田んぼを造り、ゲンゴロウやミズカマキリなどの幼虫を育てたいと考えている。「庭の田んぼで育ったゲンゴロウが近くの田んぼや池に飛んで行くようになれば、水生昆虫が増えるはず。いい田んぼを造るために、もっと詳しく水生昆虫の生態や生活環境を調べたい」と力を込めた。

〈一言アドバイス〉


 生物多様性の観点から重要度の高い湿地の都道府県別一覧表が環境省のホームページにあります。そこには沖縄県の水生昆虫を対象とした場所が16ヵ所記載されています。これも参考にして調査をするとよいと思います。(與儀)

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