沖縄本島における在来および外来淡水性プラナリアの分布状況 

志賀加奈子、宮城脩子、田中直歩、宮里結 開邦高・プラナリア探索班(2年)



宮里結さん(右端)が持つ瓶にプラナリアがいる。河川では志賀加奈子さん(左端)、宮城脩子さん(右から2人目)が持つスポイドでプラナリアを集め、田中直歩さんが示すイラストを参考に種を同定する=南風原町の開邦高校


生態系への影響いかに


 体を切断すると断片ごとに一匹の体に再生する再生力の強さで有名なプラナリア(扁形動物)。川の石の裏などに住んでおり、きれいな水の指標動物にも使われる。このプラナリアの世界にも外来種問題が出ている-という情報を得て、実態を調べ始めた。
 県内の淡水性プラナリアはナミウズムシとリュウキュウナミウズムシが知られているが、水質が悪化した中南部では外来種と見られるものも確認されている。まずこれらの種を同定しようと、北部から南部まで本島内24河川でプラナリアを捕獲。学校に持ち帰って顕微鏡で観察し、見分けにくいものは染色体を使って区別していく。
 河川ではパックテストで水質を調べ、プラナリア以外の水生生物も種類や数を記録することで、環境による生物相の違いを肌で感じている。中南部では北米原産のプラナリアがよく見つかるほか、特に汚染の進んだ南部の河川では、東南アジア産と見られるものも見つかったという。
 今後は学校で飼育しているものを使って、在来種と外来種の交雑や捕食、競争関係を調べる予定だ。「ヒトへの影響がある種ではないけれど、生態系への外来種の影響が分かるのでは」(宮城脩子さん)と意欲を燃やしている。

識者コメント


 近年、外来種による生態系の変化が問題になるが、生息している他の生物との関連についても気になるところだ。県内各河川における水質調査と併せた結果は、今後の生態系の維持の観点からも大変興味のある研究である。(下地)

主催:琉球新報社 共催:一般財団法人 沖縄美ら島財団
〒900-8525 沖縄県那覇市泉崎1-10-3  (c)The Ryukyu Shimpo
本ウェブサイト内に掲載の記事・写真の無断転用は一切禁じます。すべての著作権は琉球新報社または情報提供者にあります。