宮古島に生息する在来種アリと放浪種の生息環境とその分布に関する研究

加島未奈子、比嘉望美、平良晃嗣、嵩里優花、垣花武志中尾優希、下地真生 宮古高校生物部(2・3年)



日々の採集や世話を重ねて、小さなアリを見分ける「アリ目」を磨く生物部のメンバー=宮古島市の宮古高校


゛巨大コロニー゛島覆う?


 沖縄県内で約150種類、宮古島では約60種類も報告されているアリ。アリは女王ごとにコロニー(集団)を作り、違うコロニーのメンバーは同種であっても攻撃し合う傾向にある。しかし種によっては違うコロニー間でも攻撃せず、同じコロニーのメンバーのように振る舞う。
 世界的に外来種問題を起こしているアルゼンチンアリでは、ヨーロッパで数千キロの範囲にわたり互いを攻撃をしない「超巨大コロニー」が報告されている。アルゼンチンアリ同様、外来種として世界中に広がっており、宮古島の海岸にも多数いるツヤオオズアリも、島を一周する超巨大コロニーを作っているのではないか-。このような仮説を立て、各地でアリを採集・飼育し、出身地の違うアリ同士をケンカさせて検証している真っ最中だ。
 同時に進めるのが宮古島や周辺離島にいるアリの標本作りだ。各地で採集し、顕微鏡をのぞいて種を同定した標本は300以上。初めは同じに見えたアリたちも、いまでは一目で「だいたいの種類が分かる」までに。2014年開通予定の伊良部大橋架橋後に、伊良部島のアリの種類がどう変わるかというテーマも温めており、後世に残る記録となりそうだ。

識者コメント


 宮古島と周辺離島のアリ相を明らかにすると共に、ツヤオオズアリの生態、特に島全体の複数のコロニーが一つの巨大コロニーではないかという壮大な仮説を立て、室内での観察も交えて進めるなど楽しみな研究です。(安座間)

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