糸満市真栄里海岸における打ち上げ貝の研究IV

上原一路(糸満市立糸満2年)

貝の総数激減危ぶむ




真栄里海岸の打ち上げ貝、生き貝の調査を重ねる上原一路さん。数年で貝の数が激減していることを憂慮している=2019年8月、糸満市糸満

 上原一路さん(14)は2020年から護岸工事が始まる真栄里海岸で、打ち上げ貝の調査を続けて4年目になる。「護岸工事が始まれば海岸付近に生息する貝類に影響が出るだろう。この海岸に今どれだけの種の貝がいるのか記録したい」と意気込む。昨年に引き続き、打ち上げ貝の採集・同定と生き貝の調査に加え、今回は50センチ四方の方形枠を使い、波打ち際に生息する貝の実数調査も行った。
 今年採集した貝は打ち上げ貝、生き貝合わせて92科360種。昨年に比べ3科減5種増だ。「4年間、科と種の増減はほとんどないが総数は激減している」と指摘する。方形枠を使った調査は昨年も試験的に行い、10個程度の二枚貝を見つけた。今年は一度、干潮時に波打ち際12カ所で調査したが、そのうち砂地の8カ所では1、2個が多く、0個の所もあった。再度干潮と満潮の間に調査する予定だが、「複数回調査してどちらも1、2個なら、名城ビーチのホテル建設や空港滑走路の工事の影響で貝が減少しているのかもしれない」と危ぶむ。
 今後、4年間で採集した貝を全て標本化するつもりだ。「工事前にはこれだけの種類の貝がいた証拠を残したい」と力を込めた。

〈一言アドバイス〉


 貝殻の表面にはさまざまなものがこびりついている場合があり、多くは貝殻上を生活の場としている他の生物によるもので、打ち上げ貝の付着物を観察することでその貝の生きていた環境を知る手がかりになると思います。 (與儀)

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