トンボを指標にした環境の良好度―第1部 止水域編―

大城航(昭和薬科大学附属中2年)

新たな評価手法探る



トンボの種類や分布によって止水域の環境を判別できるかを調べる大城航さん=2019年、宜野座村漢那

 トンボにこだわった研究を続ける大城航さん(14)。2年ぶりの参加となる今回、トンボの種類や分布によって止水域(池や水田)の環境を判別することができるかを調べている。
 昨年の自由研究で止水域の水質を調査した。水質の判断基準となる生物を探すには水に入らなければならず、水に入る危険性や採取する難しさが伴う。「空を飛ぶトンボで判断できれば、もっと簡単に調査ができる」と今回の研究を思い立った。
 本島中南部5カ所と、北部5カ所の池や水田などを調査している。空に飛ぶトンボや水中にすむヤゴ、他の生物を採取して種類を特定することで、水質環境を判断する材料になりうるか、可能性を探っていく。夏の調査では、トンボの分布は水質よりも外来種の影響が大きいと考察している。冬にも同じ場所を調査し、研究結果をまとめる。来年は河川など流水域でも同様の研究をする予定だ。
 大城さんは「本来の生態ピラミッドと外来種がいる場合とを調べ、それぞれに分布するトンボがどういった位置にいるかを比較しても面白いと思う」と話し、「研究を通して、水環境を判断できるようにしたい」と前を向いている。

〈一言アドバイス〉


 止水性のトンボの仲間は、生息可能な水環境の範囲が比較的広いため、同じ種でも様々な環境に生息している種も多くいます。結果をまとめるときは、各種の生態も考慮しましょう。また、外来種の魚やカメ類、カエル類などによる水生昆虫への影響もよく分かっていないことが多いので、ぜひ調査して下さい。(佐々木)

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