伊平屋野甫島に棲む動物たちパートII~ヤシガニの研究を通した島の生き物の調査~ヒナカマキリの生態観察

伊差川実怜(伊平屋村立野甫小5年)、美琴(同小2年)、美織(同小2年)

浜辺で幼生追い求め




野甫島の豊かな自然を調べる(左から)伊差川美織さん、実怜さん、美琴さん=2019年8月、伊平屋村野甫島

 伊平屋村野甫島に住んで2年目となる伊差川実怜さん(11)は昨年度に引き続き、ヤシガニを中心に島にすむ生き物の生態調査に取り組む。昨年度1年間かけて島内を調べ、ヤシガニが好む環境を把握した。今年度の目標は「幼生を探すこと」。10月から11月にかけて行われる産卵の調査と合わせヤシガニのライフサイクルの確認を目指す。
 インターネットでヤシガニの幼生は浜辺の砂の中で、ヤドカリのようにカタツムリや貝の殻を背負って生活することを知った。「成体はアダンが生えた水が染み出る岩場に多いので、その近くの浜辺で幼生を探したい」と意気込む。ヤシガニの甲羅は人の指紋のように個々で異なることを知り、個体識別のため写真撮影にも力を入れる。
 現在、妹の美琴さん(7)と美織さん(同)とともに週に数回、島内の海岸線や集落周辺、歩道を廻り、ヤシガニだけでなく渡り鳥やトカゲ、クワガタなどの調査も重ねる。6月にはオカガニの産卵も見ることができた。本島とは異なる木にクワガタが集まることに気づき「野甫島の環境に合わせて生活している」と実感。日々の観察を通して島独特の生態系を探るつもりだ。

〈一言アドバイス〉


 ヤシガニのライフサイクルの研究は、本格的ですね。甲羅の模様で個体識別できれば、2回以上観察できた個体の行動範囲も、分かることでしょう。アダンの実が落ちる頃、それを食べに来る動物も観察してみましょう。(西平)

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